子どものスポーツ障害は“違和感のうちに”対処を!~レントゲンやMRIで異常がなくても油断しない~
はじめに
部活動やクラブ活動を通じて、スポーツに励む子どもたちが年々増えています。特に高校生以下の世代は、心身の発達と共に技術的にも大きく成長する時期。その一方で、成長期特有の身体の変化や負荷により、スポーツ障害やケガのリスクも高まっています。
ここで重要なのは、「痛みや違和感」が生じた際に、それを見逃さないこと。そして、レントゲンやMRIで異常がなかったからといって安心しすぎないことです。実は、画像検査で“異常なし”と診断された子どもたちの中にも、機能的な問題や筋肉・関節の使い方のクセが原因で痛みが出ているケースが多くあります。
こうした場合にこそ、柔道整復師が在籍する**接骨院(整骨院)**を活用することが、早期回復・予防に非常に有効です。本記事では、子どものスポーツ障害の特徴や、なぜ接骨院でのケアが効果的なのかを詳しく解説します。
成長期の子どもに特有のスポーツ障害とは?
まず、成長期の子どもに特有の代表的なスポーツ障害をいくつか挙げてみましょう。
1. オスグッド病(オスグッド・シュラッター病)
膝の下(脛骨粗面)に痛みと腫れを伴う障害。主にジャンプやダッシュを繰り返す競技(サッカー、バスケ、陸上など)で発症します。成長期の骨がまだ柔らかく、筋肉の牽引力に負けて炎症が起きます。
2. シーバー病(踵骨骨端症)
踵(かかと)の痛みを訴える障害。特にサッカーや野球、バスケットボールなど、走る・跳ぶ動作の多いスポーツでよく見られます。
3. 野球肘・野球肩
投球動作の繰り返しにより、肘や肩に痛みが出る障害。肘関節の内側・外側、肩関節の腱・筋などに影響を与え、放置すれば将来的な可動域制限にもつながりかねません。
4. 腰椎分離症
腰椎の後方部分が疲労によって割れる(分離する)障害。腰の痛みが持続し、特に後屈(体を反らす)時に痛みが強くなるのが特徴です。体操・野球・サッカーなど、体幹のひねりや反り返りが多い競技に多く見られます。
痛みは“サイン”である
痛みや違和感は、身体からの重要な“サイン”です。多くの子どもたちは、スポーツに夢中になるあまり、少々の痛みを「我慢すれば治る」と軽視しがちです。しかし、その痛みの裏には、関節や筋肉、骨に何らかの負担がかかっていることが多く、放置すると症状が悪化し、最悪の場合は手術や競技からの離脱を余儀なくされることもあります。
子どもの身体は大人と違い、まだ未成熟で柔らかい反面、急激に成長するためにバランスを崩しやすく、ケガもしやすい状態にあります。そのため、**「何かおかしいな」「ちょっと痛いな」**という段階での早期対応が非常に重要になります。
レントゲンやMRIで「異常なし」でも安心できない理由
整形外科などで画像検査を受け、レントゲンやMRIで「骨に異常はありません」と言われると、保護者としてはひと安心するかもしれません。しかし、それで終わらせてはいけません。
画像検査は「骨折」や「靭帯損傷」などの構造的な異常を確認するのには優れていますが、筋肉の張り具合や関節の可動域の偏り、体の使い方のクセといった機能的な問題までは映し出せません。
つまり、画像上は問題がなくても、痛みの原因が身体の使い方や筋肉のアンバランスにある場合、子どもは痛みを感じ続けることになります。これを放置すると、慢性化し、別の部位にまで影響が広がるリスクがあります。
接骨院を活用するメリット
接骨院では、レントゲンやMRIのような画像診断は行えませんが、代わりに「問診」「視診」「触診」「徒手検査」などを通じて、実際の動きや筋肉の状態から原因を突き止めることが可能です。
1. 機能的な問題の発見
・筋肉の硬さ
・関節の動きの悪さ
・左右のバランスの崩れ
・身体の使い方の癖
など、**“画像に映らない異常”**を把握することができます。
2. 手技による早期の痛み軽減
柔道整復師による施術では、筋肉を緩めたり、関節の動きを調整したりといった手技療法を中心に行います。特に、成長期の子どもには過度な刺激を避けた、やさしく丁寧なアプローチが取られます。
3. 予防のための指導・ストレッチ
接骨院では、再発を防ぐためのストレッチ指導やセルフケア方法も丁寧に教えてくれます。筋肉の柔軟性を高めたり、正しいフォームを身につけることで、将来的なケガの予防にもつながります。
保護者・指導者ができること
子ども自身が「痛い」と言わなかったり、逆に「まだ大丈夫」と言ってしまうことも多いため、保護者や指導者が以下の点に注意して見守ることが重要です。
プレー中や後に体をかばうような動作がないか
歩き方や走り方がいつもと違わないか
着替えや準備運動時の様子に違和感がないか
表情に痛みを我慢している様子がないか
少しでも異変を感じたら、まずは話を聞き、状況によっては接骨院などに相談してみましょう。
まとめ:画像に映らない“違和感”こそ早期対応を
子どもたちの身体は、大人と比べて非常にデリケートで変化も早いです。「成長期だから仕方ない」と放置してしまうと、のちに大きな問題に発展しかねません。
特にスポーツに励んでいる子どもたちは、多少の痛みや不調を我慢してプレーを続けてしまいがちです。そのため、大人がいち早くサインに気づき、適切なケアへ導いてあげることが、今後の競技人生や健康な成長のためにも非常に大切です。
**「レントゲンでは異常がなかったから大丈夫」ではなく、「異常がなかったからこそ接骨院でチェックしてもらおう」**という視点を、ぜひ持ってください。
子どもたちが健やかに、そして長くスポーツを楽しめるように、日頃からの観察と早期対応の意識を忘れずにいたいものです。